【吉田 翔平】




「佳奈さん」


「はい」


「なんて言った?」

「もう言いません。」





食神でのこと。
ふたりしてチキンライスを食べてた時。

思い出したかのように





「今、俺に好きって言わなかった?」





瞬きをしながら目をそらす彼女は、頬を赤くしてチキンライスを頬張った。







「なんで」





突然の事で疑問は当然生まれます。






「なんでって、んー」


「俺のこと、好きなの?」


「多分」


「やっと、両思いに」


「あ、でも。」


「え?」


「私ね、留学決まったんだよね」


「え、、マジでっ」




正直、会えない事を考えると嫌だけど
すっごく嬉しい。





「佳奈さん行きたいって言ってたもんなぁ。やったね」

「それでなんだけどさ。」

「ん?」

「他の子とか、好きになっても。私大丈夫だから。その」





何となくわかった。

前に同じような流れがあった。あの頃は強がって言ってるなんてわからなかったか。
二言で終わらせてしまった。





「そんなのありえないよ」




僕の言葉で逸らされていた目が合わさった。






「俺、佳奈さんの為なら幾らでも待てる。」

「嬉しいんだけど、」

「別に、勝手に待ってるだけだし。」

「んー。」





納得してない彼女の頬に指で小さくなぞる。




「いーの。俺が好きでやってんだから」




彼女の頬についていたご飯粒を指でとり口に運んだ。





「佳奈さん、好き」





ゆっくりでいいから。
少しずつ僕の存在を好きに近づけてください。