あの表情をもう一度見てみたいと思った。それは日に日に強くなって、それと反比例するように、自分の毎日のくだらなさに嫌気がさしてきた。
鏡を見て、あなたの凜とした美しさの中にある、その一瞬の表情と自分の汚れっきった魂を見比べる。俺がもう一度あの表情を見るためには、俺はきっとこのままではダメだ。
俺は初めて、本当に生まれて初めて、自分以外の他人を、独立した人間なのだと気づいた気がする。気になった。何もかもを知りたくなった。
そして俺という存在を、知って欲しくなった。
あの時は驚かせてしまったと思う。
髪を一つにまとめ、額に汗をして走る姿を見たら、いつの間にか声が出ていた。怪訝な顔をされて、通り過ぎられただけだったけれど、俺にとっては生まれて初めての自分から他の存在に働きかけた瞬間だった。
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