ヒロインの条件


「あ、あともう一つ秘密にしてることがあって」
「何? もう驚かないよ」
「一緒に暮らしてます」

西島さんが「へ?」と声をあげる。山本さんも「何それ」と呆れた声を出した。

「アパートが壊れちゃったとき、路頭に迷いそうだったのを佐伯さんが助けてくれました」
「……なんていうか、漫画みたい」
西島さんが驚きながらもうっとりした様子で言う。

「ですよね。でも現実に起こると、家を失うとか絶望的でした」
「はは、そうかもー」
山本さんは笑った。その笑顔は本当に可愛かった。