「好き」が加速する。気持ちを認めると、佐伯さんのあらゆることが、輝いて見えた。
もともとイケメンだと思ってたし、地位も名誉もお金もあって、申し分ない設定だったけれど、そういうんじゃなくてもっと。
例えば笑うときの幼い感じとか、何か考えてるときに耳たぶを引っ張る癖だとか、起き抜けの後ろ髪がピンと跳ねてるところとか、
全部全部、愛しく思ってしまう。
佐伯さんの気持ちに応えたいけれど、どうしたらいいだろう。ただ単純に「好き」って伝えるだけでもいいかもしれない。でも、どこで会ったのか、どうして会ったのか、なんで好きになってくれたのか全然わかんないままなんて嫌だ。
『返事は思い出したら』
思い出したい、佐伯さんのこと。どうしたらいいだろう。
熱もすっかり下がった月曜日のお昼休み、山本さんが私と西島さんをランチに誘った。こういうときはおそらく佐伯さんの件で何かあったのだろう。
5階の空き会議室にランチを持ち寄ると、山本さんはドアをパタンと閉めた。
立ち並ぶビルが見える窓からは明るい日差し。山本さんはいつもの制服にクーラーよけの薄ピンクのカーディガンを羽織っている。西島さんはまた髪を切って、首筋が見えるほどのショートになった。
山本さんは足をピシッと揃えて、肘をつき身を乗り出した。
「告白しようと思うの」
私はびっくりして思わず「え?」と言ってしまった。最初は距離の取り方がどうとか言ってたのに、すごく積極的だったから……。

