「坂上さんと付き合ってるときも、他の女の子といっぱい浮気してたって聞きました」
私が言うと、「いや、付き合ってないし」と佐伯さんが声を荒げる。
「へー、付き合ってない人と、いろいろしたってことですよね……不潔……うちのお兄ちゃんみたいで、腹が立ちます。お兄ちゃんも、同時に何人もの女の子と付き合って、平然としてました。あんな人最低だって、ずっとずっと思ってました。佐伯さんもまったく同じです!」
佐伯さんは何も言わない。瞳の色がなくなって、すごく衝撃を受けてることがわかった。でも止められない。声がさらに大きくなる。
「千葉は、そういうことは絶対しません。誠実で、まっすぐで、人のことを真っ先に考える、私はそういう人と一緒にいたい」
私は背を向けると、自分の部屋に入ってバタンッと勢いよくドアを閉めた。とめどなく涙が溢れてきて、肩を震わせながら鍵をかけた。
ベッドにうつ伏せになって、ひどく泣いた。裏切られたとか、そういうんじゃない。ただの八つ当たりなんだ。
どうして私、こんなに怒ってるんだろ。

