ヒロインの条件


山本さんがぴょこんと佐伯さんの隣に座った。
「じゃあ、これまで通り同期の塩見さんとして、ランチや飲みに行ったりもしてくれるってこと?」

私は驚いた。もう山本さんは佐伯さんのリクエストをちゃんと受け入れて実行している。

「もちろん」
佐伯さんは半ば驚きながらも、山本さんの言葉に安心した様子を見せた。
「でもこのことは誰にも喋らないで欲しいんだよね」

西島さんはぐっと口を結ぶと、意を決したように「わかりました」と力強く頷く。

「俺、まだシス管で働いててもいい?」
「もちろんです、むしろお願いします」
やっと西島さんに余裕が生まれてきたのか、うっすら微笑みが浮かんでいる。

「じゃあそういうことで」
佐伯さんは、ポンと両膝を手のひらで打つとソファから立ち上がり、三人を連れて社長室を出た。
エレベーターの6階で佐伯さんと西島さんは降りた。西島さんは夢見心地という表情で、佐伯さんはばれたことを後悔しているという感じでもなかった。何もなかったように飄々としている。エレベーターの扉が閉まる時私は頭を下げたが、山本さんを見ると手を振っている。

すごい適応力だ。