私がその指から視線を外せないでいると、設定が終わったのかカードキーをスキャナーからサッと抜いて、机の上に置いてこちらへ滑らせた。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます」
私が右手を伸ばしてカードに指を置くと、佐伯さんの指にちょんと触れた。
「あ、ごめんなさ……」
反射的に手を引っ込めようとした瞬間、佐伯さんの中指が私の人差し指の上に置かれた。
指の温度が……伝わる。それだけじゃなく何かが伝わって、緊張のあまり手の平がつりそうだ。
「爪……ちっちゃいんだな」
佐伯さんは私の指先をそっと触りながらつぶやいた。
私はごくんと空気を飲み込んで「あの……」と出した声が裏返る。すると佐伯さんは私の顔を見上げて、私を見つめる。それから「おっと」と指をカードから離した。
「これは事故だよな。指がぶつかっちゃった、みたいな」
佐伯さんがニコッと笑って、立ち上がる。私はカードをなんとか手で持とうとしたが、プルプル震えてしまってうまく持てない。
「顔赤いよ? 大丈夫?」
佐伯さんは意地悪っぽくそう言うと、スタスタと私を置いて部屋を出て行く。
「もうっ」
私はこみ上げる恥ずかしさに悪態をつくと、手を一度ぎゅっと握ってから、カードをガシッと掴んだ。二人の前に出る前に、顔の火照りをなんとかしないと。パンパンと手の平でほっぺたを叩く。
部屋を出ると「じゃ、行こうか」と佐伯さんが二人に言っている。私はその薄暗い部屋の扉を閉めようとして、ふとパソコン横のスマホが目に入った。

