今日は最悪だ。

朝から雨だし、宿題を忘れるし、
お弁当も忘れたし…

どうしてこんなにだらしないのか
十数年この身体で過ごしてきたのに
何も変わっていないような気がする。

(気晴らしに屋上にでも行ってみるか…)

ザァー

(雨降ってるの忘れてたや…)

「はぁ」

諦めて帰ろうとした時、ふとドアの方に
気配を感じた

(まさかね、雨だし)




「あ、ほんとにいた」

雨が降っているにも関わらず
屋上で外を眺めてる人がいた

(一ノ瀬六花…だっけ?)

先日、友達から噂で聞いていた女子生徒が
びしょ濡れになってフェンスに手を掛けていた

「早まらないでっ!!」

思わず駆け出して彼女を引っ張った

当の本人は驚くどころか、
不審者を見る目でこちらを見ていた

「えっと、大丈夫?」

自殺しようとしていたんだ
直感でそう感じた

「何が?」

彼女は何言っているの?
と言いたそうな顔をしていた

「まだ高二だよ?やり直せ…「死にたいわけじゃないよ?」

「ただ見てただけ。雨、いつ止むのかなーってさ」

驚きと安心からか、僕はその場にしゃがみこんでしまった

「よかったっ…」

「雨が降ったあとは必ず晴れるからってさ、人を励ます時に言うじゃん?
でもそれってさ、今まで雨が止んだからでしょ?今日の雨は止まないかもしれないのに」

「不確かなことばっかだよね」

そう言って微笑んだ君は空のように、
何を考えているのか分からなかった