今日は紫さんや崇瀬組の組長らの葬儀が行われた。

崇瀬組と御堂組の二度目の抗争で命を落としてしまった人の数は、二十人以上。

崇瀬組の若頭であり、次期組長であるヘキルさんに招かれた私と維月は、亡くなってしまった人全員に花を供えてきた。

残った三輪がいま、維月の左手に握られている。


「どうしてみんなしあわせになれないんだろう」


「…幸せの定義は人それぞれだからね。俺たちがそう思っているだけなのかもしれないし、何をしたって幸せになれない人もいるかもしれない」


未知の世界だよ、と言って維月は笑った。

差し出された手を取って歩き出せば、真っ白い雪が降り始めた。


「雪だぁ…」


そう呟いた瞬間、私の手を握る力が強くなった。

どうしたの?と隣を見上げれば、何でもない、と君は笑う。

維月に出逢う前まで、私はこの季節が大嫌いだった。

どこに行っても、寒くて、冷たくて、寂しい。

そんな冬が、降り積もる純白が嫌いでしょうがなかった。

けれど、今は。