眩い光が、白い空の隙間から降り注ぐ。

葉も花もない木々は見ていて寂しかったけれど、春が来たらこの場所は色鮮やかになる。

それは日常の中にある、ささやかな幸福と希望なのだと、以前紫さんは言っていた。

多くの人々が目の先のことに囚われ、美しさを越えた価値に気づかないそうだ。


「もうすぐ着くよ」


先を歩いている諏訪くんが、前を見据えたままそう言った。

約束の週末。一年前に事故が起きた日。駅前で待ち合わせた私たちは、事故が起きた場所へと向かっていた。

何か思い出せると信じて。


「――ここだよ」


そこは、私が前に通っていた高校の近くにあった。

駅から数本目の大通りで、住宅よりも竹林が圧倒的に多い。

山道を整備したような場所、と言えば分かりやすいだろうか。


「…普通の歩道橋よね?」


階段を上り、事故現場である歩道橋の上から聡美と一緒に道路を見下ろした。

反対側から道路を見下ろしているりとが、「そうだね」と返事をしている。


(…ここ、で…)


どこにでもありそうな、寂れた歩道橋の上。

一年前、私はここで維月さんと一緒に…。