春を待つ君に、優しい嘘を贈る。

「…友達が馬鹿なことをしようとしているのを止めるのに、理由が必要なわけ?」


言ってしまったことへの罪悪感が積もる。どこまでも真っすぐな瞳から目を逸らしたはずなのに、引き寄せられるように見てしまう。

ネイビーブルーに囚われ、どうやって息をしていたのか分からなくなった。


「(必要、だよ)」


そう言った瞬間、一瞬で視界が真っ白になった。

背にある感触は、柔らかいスプリング。鼻を擽る香りは、どちらのものなのか分からないシャンプーの匂い。

目に映るのは、白い天井。そして、今にも泣き出しそうなりと。


「ふざけるなよ!」


何、が?

ふざけるなって、私?

私がりとを怒らせた?

激しく動いている心臓を落ち着かせようと、空気を吸っても吐いても、それが自分の肺の中で行われているのかどうか分からなかった。

そんなことを気にしていられなかった。

だって、視界いっぱいにりとの顔が映っているんだもの。