翌日。何事もなく放課後を迎えた私は、聡美と一緒にコンビニエンスストアに足を運んだ。

私と聡美はこれから諏訪くんのお見舞いに行くのだ。手持ち無沙汰はいけないので、手土産を買おうと思い、ここに立ち寄った。

お菓子や飲み物のコーナーを見て回った後、私たちは箱菓子が並ぶ棚の前で足を止めた。

目の前に並ぶのは、かの有名な焼き菓子や和菓子が箱に詰まっているもの。リーズナブルな価格だなぁと思うが、それらを前にしていたら、ある重要なことに気がついた。


「ねえ、柚羽」


「(うん?)」


「よく考えてみたら、諏訪の好物を知らないわね」


どうやら聡美も私と同じことを思っていたらしい。豊富な品々に目移りするどころか、眉根を寄せている。

私はクスリと笑い、コクコクと頷いた。聡美も笑った。


「そうよね。私たちってよく一緒に居るわりに、名前以外お互いのことを知らないのよね」


その通りだと思う。階段で神苑と口論をした日以来、私たちはよく行動を共にするようになった。とはいえ、四六時中というわけではない。