〔マーク……。〕

声のした方を見ると、KUIS8で会う約束をしていたマークが居た。

そのマークの視線の先には…。

〔ダイスケ……。〕

ダイスケ?

〔マークもう来たのか…。〕

マークの知り合い?

〔来たよ…。〕

〔彼女と二人きりが良いだろうから、俺はもう行くよ…。〕

彼女?

〔行けよ…。〕

〔えっ…でも……。〕

〔うん…。じゃあな…マーク…。
えみり…。〕

〔あの何か勘違いを…。〕

私はマークの彼女なんかじゃ…。

ダイスケは私の言葉を聞かずに、逃げるように行ってしまった。

〔ごめんな。ダイスケに話があるって言われて待ってたから、約束の時間に遅れちまった。〕

そして、さっきまでダイスケが座っていた席にマークが座る。

〔ダイスケっていう人は友達なの?〕

〔いや。同じアジア語学科で韓国語専攻の2年ってだけだけど。〕

仲良くないのか……。

だから、私を彼女だと勘違いしてたのね……。

〔じゃあ、何で私の名前を知ってるの?〕

〔誰かから聞いたんじゃないのか?〕

〔誰かから……。〕

……誰だろう?

〔安心しろ。
ダイスケにはお前に二度と近づかないように言っておくから。〕

〔なら、私が彼女じゃないって事も言っておいて。勘違いしてるみたいだから…。〕

〔今日の講義で分からない所は?〕

〔えっ?〕

〔分からない所なかったのか?
なら、俺は帰るぞ。〕

席から立ち上がろうとするマークの左腕を私は掴む。

〔あります。〕

〔……どこだ。〕

〔ここなんだけど……。〕