約束していた場所のKUIS8に着いた…けど……。

姿が見えない。

まだ来てないのか…。

座って…待っとくか……。

私は適当に近くに空いていた窓際のテーブルの席に座ると、持っていた茶色のリュックの中から、教科書、ノート、筆箱を取って、テーブルの上に置く。

今日、習った所の復習をしようか…。

私が教科書を広げようとした瞬間。

〔こんにちは、えみり。〕

〔…こんにちは。〕

私の隣の席に男性が座る。

……誰?

知らない顔だけど……。

〔俺の名前はダイスケ。
会うのは初めてだね。〕

〔…はい。〕

初対面か…。

私が会った事を覚えてないのかと思った…。

でも、それなら何で…私の名前を……。

〔えみり。〕

知ってるの?

〔今週の日曜日、一緒に海に行かない?〕

何で…私を……。

〔……一緒に?〕

誘うの?

〔そう! 友達も誘って行こうよ!!
えみりは英米語学科の1年なんだよね? そこの友達で可愛い子居るよね?
…ユウカとか……。〕

〔ユウカ……。
ああ!! 居ますね。〕

笑うと、エクボが出来る可愛い子だ。

〔絶対に誘って!!!〕

〔…無理ですよ……。
友達じゃないですから……。〕

話はするけど、友達ではない。

〔……友達じゃないんだ……。
でも…誘ってくれないかな?〕

〔……えっ?〕

〔誘ってくれ!!!
お願い!!!〕

ダイスケが両手を合わせて、お願いポーズをする。

〔そう…言われても……。〕

困るんだけど……。

〔自分で誘えよ。〕

この声……。