「うわっ、すっごいイケメン」
隣に立つ麻美の声がワントーン上がった
「うーん、でもどっかで見た顔よね?」
顎に手を当てて唸り始めたけれど
気にしない風の麻美はスタスタと正面入り口の自動ドアに向かって歩き出した
出来ることなら裏口から逃げ出したい
なんなら変装してみようか
頭で考えるより麻美の足が早すぎて
2つ目の自動ドアを抜けた私は
予定では麻美の後ろに隠れて俯いて逃げるはずだったのに
「はなっ」
大きな声で呼び止められた
「え?」
その声に急に立ち止まったのは麻美
5メートル先の車道に立つ柊を暫く観察していたけれど
ハッと気付いたように目を見開いて
「かの・・・あれって」
7年前の記憶と結び付いた顔をした
その間にもたれていた車から離れて
目の前に立った柊は
「よぉ、帰り定時だろうって迎えに来てやった」
と眉目秀麗な顔で笑った
ーーうわ!破壊的に綺麗な顔ーー
そう思ったと同時に背後のギャラリーから悲鳴とも取れるようなため息が漏れた
頼んでもいないのに
しかもかなり上から目線で感じ悪い
それに・・・
コイツと関わりたくない
断ろうとスーッと鼻から息を吸い込むと
隣の麻美が先に答えた



