パジャマに着替えて部屋に戻るとドライヤー片手に花流がベッドに座って待っていた


「座って」

「うん」

開いた両足の間に座るとドライヤーで髪を乾かしてくれる

子供の頃から長い髪が羨ましいと言って偶にドライヤーをかけてくれていた花流

高校生になってからは“自分でするから”って追い返していたのに

こんな日は一人になりたくなくて
素直に任せる

「はい、終わり」

「ありがと」

「ん」

ドライヤーを片付けると正面に座った花流

「あの・・・ね?」

「ん?」

「あの・・・」

花流の声が聞こえた後のことを教えて欲しくて言い淀む

それに気付く花流は

「花乃が知りたいなら答えてやるよ」

手を伸ばして頭をポンポンと撫でた

たまたま屋台で麻美と会った花流は
麻美と私が待っているであろうテーブル席へ移動すると

騒つく集団がいて
柊に連れ去られた私の事を聞いた

「柊が女を連れ去ったってギャラリーが騒いでて、ハーフみたいで可愛かったって言うから、花乃で間違いないと思ってさ」

気がつけば“あっち”と指差された方向へ
走り出していたという


「アイツ・・・」

悔しそうに表情を歪める

「ありがと・・・ハル」

気分を直して欲しくてお返しとばかりに花流の頭をポンポンと撫でた