「でもな、お母さんがよく言っていただろう?
何でも口にしないと自分の気持ちは、
伝わらないって」

「七海自身の気持ちをしっかり
相手に伝えないとダメだぞ?」

お兄ちゃんは、私の頭を撫でた。

そしてニコッと笑う。

「……うん。ありがとう」

お礼を言うと行ってしまう。

その言葉は、小さい時に人見知りが酷くて
友達がなかなか出来なかった私に
お母さんが言ってくれた言葉だった。

私は、この言葉をずっと大事にしていた。

私の気持ち…まだ、何も伝えていない。

蓮先輩にも雅先輩にも…。

本当に…このままでいいの?

私は………。

「……。」