みんとキャンディ

「だって、その頃雄兄は引退してるからねっ」





引退したその日に会いに行くって雄兄言ってたよ?




藍楽の言葉で聖梨は、一瞬目を丸くして、



躊躇うように嬉しそうに頬を赤らめた。




「……両想いだねっ」




呟いた藍楽の後ろで、



「……ただいま」



いつもより早く帰宅した雄楽が通り過ぎる。



「お、おかえりっ!」




気まずい二人を思いがけず鉢合わせてしまった藍楽は、一人慌てて目を泳がせた。




そんな藍楽の気を余所に、




不意に二人の視線が重なった。





驚いたように目を見開いた雄楽に、




聖梨はにっと笑いかける。




一瞬、表情の強張った雄楽は、




柔らかい微笑みを残して、去っていく。



それを呆然と見上げていた藍楽は、



「ひぃちゃんっ」



勢い良く振り返る。





「今度は、楽しい両想いだね?」




それを聞いた聖梨は、



満面の笑みで頷いていた。






-Fin-