「ひぃちゃんのそんな顔……雄兄が見たらショックなんだろなぁ」



放課後。



藍楽と落ち合った聖梨は、さっきから何度目かのため息を漏らしていた。



「ごめんねっ……」



慌てて謝ってみせる笑顔も、やっぱりぎこちない。



「はぁ……。重症だね」



思わず藍楽にまで、聖梨のため息が伝染ってしまう。



どちらとも無く口を閉ざし、二人の間は沈黙で埋められていった。



その間、じっと目を伏せた聖梨に見かねた藍楽は、



「ひぃちゃん……雄兄と居るの、しんどいって思ってる？」



意を決したように口を開く。



窺うような藍楽の目に、すぐに否定出来ない聖梨の逸らした目が何よりの肯定。



それを見透かしたように、小さく息をついた藍楽に、



「しんどいって言うか……辛いよ……。雄楽くんの邪魔になってることが……」



聖梨の声が震える。




いくら雄楽に優先順位の話をしようが伝わらない……。



ならばいっそのこと、キャプテンとの約束通り雄楽の傍から離れるべきなのかもしれない……。



言い淀む聖梨に、藍楽が出した新たな選択肢。