「高月先輩」



瑞香に呼ばれ、ぼんやりした頭のまま、視線を瑞香に合わせる。



「……アナタの言葉しか雄楽には届かないんです」



瑞香のこの言葉が、



何度も何度も聖梨の中でリフレインされていく。




「雄楽にどんな言葉をかけるのか……アナタにお任せします」



こう言い残して去っていく瑞香に、



聖梨は立ち尽くし、目を足下に向けた。



俯いてしまった聖梨に、



「聖梨?」



そっと優季が腕に触れる。



心配そうに見つめる優季に、微笑み返す余裕すら今は出ない。



「……雄楽くんに会いたい」


「……会ってどうすんの?」



心細そうに目を潤ませる聖梨に、優季が冷静に聞き返す。




「……顔が見たい。きっと後悔してるよ……」



「してないと思う」


相変わらず冷静な口調で、優季は聖梨の言葉を否定した。



それに驚いたように優季を見つめる聖梨に、



「彼は、アンタを守れたって……満足してるんじゃない?」



優季は言葉を続けていく。