「おまたせ~。聖梨?」



放課後の教室。



日直だった優季を待っていた聖梨は、



じっと窓の外を見つめていた。



そんな聖梨の背後に、優季がそっと近付き、



聖梨の視線の先を辿った。



聖梨の視線の先。




「なかなか凛々しいじゃない? アンタの騎士サマ」


「っっ!? 優季っ! イキナリおどかさないでよ~」




背後からかけられた声に、聖梨は目を見開いてニヤつく優季に振り返った。




「声ならかけたけど? アンタが彼に見とれて気付かなかったんでしょ」



さっきから消えない優季のニヤニヤ笑いで、聖梨の顔は真っ赤になっていく。



窓の外に見える部活風景の中。



目前に控えた新人戦の練習に奮起するサッカー部。



その中でも、聖梨の目が真っ直ぐ見つめていたのは、雄楽ただ一人だった。




「聖梨……。しばらく熱とか出したらダメだね」


「えっ? 何イキナリ……」



聖梨の隣で、サッカー部に目を向けたまま呟やかれた優季の言葉に、聖梨は首を傾げた。