「何やってんだ。デカ女」



振り返った先にあるのは、さっきまでの笑顔なんて微塵も残していない皇楽の冷めた顔だった。



驚きで目を丸くした聖梨に、



「こんなとこで突っ立って泣いてるとか……気持ち悪ッ」



いつも通りの不躾な態度で吐き捨てる。



まさか勝手に尾行して、勝手に傷ついて泣いているとも言えず、



被っていたキャップを握り締めて黙り込んだ。



そこへ、


「暇なら付き合え」



皇楽からの思いがけない一言で、聖梨は顔を上げて皇楽をじっと見つめた。



こんな格好じゃ恥ずかしい……。



なんて口にしようとした途端、



「米の特売日だ。洗剤も切れてたからな。行くぞ、荷物持ち」



聖梨を軽く振り返りながら言った皇楽は、



聖梨の返事も聞かずにさっさと歩き出してしまった……。




……期待した自分がバカだった。





聖梨は切に思った。



結局、



憧れの皇楽の隣には、


お米片手に並ぶことしか出来ない聖梨だった……。