皇楽の言葉を固唾を飲んで待っていた聖梨に、



何を思ったか皇楽は、おもむろに顔を目の前に寄せた。



固唾を飲んだ聖梨に、頬を掠める皇楽の吐息。



見開いた瞳で間近の皇楽を見上げれば、


「何でもするって……カラダでご奉仕でもしてくれんのかよっ。お嬢様?」



冷めた瞳で聖梨を見下ろして、鼻で笑う。




こみ上げるような恥ずかしさで真っ赤になった聖梨が両手で頬を押さえ、恨めしげに皇楽を見上げる。




「んなの願い下げだっ。デカ女」



聖梨を見下ろす皇楽の表情は、



今までで一番冷ややかだった。




混乱する頭の中で、聖梨は必死に涙を堪えた。



「違うっ! そんなんじゃないっ……わたしは……お手伝い出来ることは何でもするって……」



こう言って唇を結んだ聖梨に、皇楽は呆れた顔を浮かべた。



「ふーんっ。……じゃあ」



こう言って、皇楽は聖梨の手を左手で掴み歩き出す。




訳も分からずついていった先で見たもの……。




理想の王子様の外見を持ちながら、



口も性格も悪く、



聖梨の王子様像を打ち砕いていった皇楽の極めつけ……。