春休みがすぐに終わり、今日は入学式。
あれから優と会うことはなかった。
私が会わないように家に出なかったのもあるかも…。あったらまた辛くなるから。
「あら紗良襟立ってるわよ」
「え⁉︎早く直して早く‼︎」
「もう、お父さんも早くしてよ」
「おお、カメラカメラ」
「あらもうこんな時間じゃない、さっ行くよ」
「あ〜待ってお母さん」
「ふぁああ紗良似合ってんじゃん」
「あお兄ちゃんおはよ、でしょ?」
「優に会ってないのか」
「うんまあね…もうどうでもいいのよ」
なんでお兄ちゃんは優の名前なんか出すのよ。今一番聞きたくないんだから…。
「早く行くよ紗良、あらおはよ蓮、自分でパン焼いて食べてね」
「へーい」
「じゃ行くねお兄ちゃん」
私のお父さんは転勤で海外にいってるからなかなか帰ってこない。卒業式にも入学式にも来て持ったことはなかった。でも、今日はたまたま帰ってこれたから入学式に来てくれるらしい。
学校に着くと、クラス表をみる。中学が同じで仲良しだった中条 春、通称はーちゃんとたまたま同じクラスだった。1年の時に同じクラスで恋愛相談もしてたから私が優が好きだったことはわかってる。
はーちゃんは身長が高くてスタイルがよく、顔も綺麗だからよくモテてた。
「紗良〜会いたかったよ久しぶり」
「はーちゃん久しぶりだね〜私もだよ」
はーちゃんと一緒にクラスに行くことにした。
教室に入ると、私は周りを見渡した。
明らかに私には知ってる人がいなかった。仲良い子とかできるのか心配すぎるよこんなの…。
「私知ってる人はーちゃんしかいないかもはーちゃんいる?」
「私は…あっ塾一緒だった子いたちょっといってくるね」
「あ…うん」
どうしよ私1人になっちゃった。はーちゃんは可愛い子と4人で話してるみたいだった。
私、このまま1人だったらどうしよう。この先が思いやられるよ…。
「はぁ…」
「なになにもうため息ついてんの?」
「え…⁇」
肩を叩かれ後ろから聞こえて聞こえてきた声に振り返った。思ったより上を見上げないといけなかった。
一瞬私は目を疑った。イケメンな顔立ちでパッチリ二重の茶色い目が特徴的な男の子が私に話しかけてきてくれたから。
「おはよ俺、松浦 海斗」
「ぉおおおはよ…私は」
顔もまともに見れないしテンパり過ぎちゃった…
「平野 紗良、紗良ちゃんだよね」
「…え、なんで知ってるの」
「なんでだろ、ハハハ」
「あの…どっかであったことあります?」
「さぁね、同じクラスだからこれからよろしくね紗良ちゃん」
「は、はい!」
「いい返事だ、ハハッ」
たしか、松浦くんっていったっけ。私は私がなんで知られてたのか少し気になる。名簿確認した時にたまたま見ただけなのかな。だとしても顔と名前は一致しないよね…。
ほんと、どうゆうことなんだろ。
でも、私に話しかけてくれて嬉しかったな。
「ごめ〜ん紗良〜、話弾んじゃって」
「全然いいよ」
「あ、もうそろそろ並ばなきゃ」
「そうだね、行かなきゃ」