こんな風に、お母さんを陰で裏切るような真似をしなくてもよかった?
はるくんとの未来を望むことができた?
しんと静まり返る体育館裏。
小鳥のさえずりと、飛行機が上空を飛ぶ音だけが聞こえてくる。
「……変なヤツ」
古賀さんの口からポツリそんな言葉が聞こえてきてはっとする。
「そ、そうだよね!!ごめんね!!つ、つまりね、古賀さんが私を嫌ってても、私は古賀さんに憧れてて……えっと、えっと……」
って、あれ!?古賀さん帰ろうとしてる!?!?
しどろもどろしている私の横を古賀さんが通り過ぎていく。
「あ、あの…古賀さん……」
「……何か色々ばからしくなってきた」
「へ?」
「戻る」
そう言うと、古賀さんは校舎の方へと戻って行ってしまった。
嫌いだって言われているのに、勝手に一人で暴走して呆れられてしまったかも……。
「どうしよう。結局、グループに入ってくださいって伝えそびれちゃった……」
「大丈夫だろ」
「……?何が大丈夫なの?」
「前にも言ったでしょ?結衣のいいとこ、わかってくれるやつが絶対いるって」
はるくんはそう言って優しく目を細めると、ハテナを浮かべる私に「さ。俺らも戻るか」と言って先を行ってしまった。