「何?泣くとかやめてよね。余計ウザったいから」


「……ね」


「は?」



「古賀さんて、やっぱりすごいね」



古賀さんは一度驚いたように目を見開くと、すぐに眉間にしわを寄せる。


“何言ってるんだコイツ”って思っている顔だ。


急にこんなこと言われても意味がわからないよね。

だけど、この前からずっと抱いていた古賀さんへのこの気持ちは、伝えずにはいられない。



「私ね、人と接する時いつもどう思われてるのかなって気になっちゃうの。だから、本当の自分の気持ちを伝えるのが怖い……」



こう思われてしまったら?ああ思われてしまったら?って考えると、いつの間にか自分の意見が言えなくなっていた。


それは、お母さんに対してもそう。


怖いんだ。自分の気持ちが人の負担になってしまうんじゃないかって。



「だけど、古賀さんはいつも自分の気持ちを正直に言葉にするよね。例えそれが、自分に不利になる言葉だったとしても。そんな古賀さんを見ててすごいなって思った」



教室で、古賀さんが八代さん達ともめてる時も思った。



「古賀さんて、すごくカッコイイ」



古賀さんは、なりたい自分そのもの。


いつだって、芯がぶれない強さがそこにあって、自分に正直に生きている。


もし私も古賀さんみたいだったら、なにか違っていたのかな?