盗み聞きなんてよくないのはわかっているけど、ここまで来て引き返すわけにもいかない。


“古賀さん、ごめんなさい!”と心で唱えながら思い切って耳を済ませてみた。



「だから、あんたが私達に謝りさえすれば、こっちのグループに入れてやってもいいっつってんの」



あれ?


もしかして古賀さん、あの子達のグループに誘われてる?


謝るならって、この間のことだろうか。



「何言ってんの?謝らなきゃいけないことなんて、私何もしてないし」


「とか言ってさ、内心強がってんじゃないの?昨日本人に面と向かって言ってたじゃん。蒔田みたいなのとグループとか嫌なんでしょ?」



いきなり八代さんの口から出てきた自分の名前にドキッとする。



「確かにあの子、とっつきにくいしねー。勉強できるんだかなんだか知らないけど、その前に友達作れっての。いっつも一人でいて、話しかけてもらうの待ってる感じが目障りだよねー」



う……。


私、そんな風に思われていたんだ……。



ドクドクと嫌な音を刻む鼓動。思わず胸の辺りをギュッと握りしめる。



そんなつもりはなかったんだけどな……。


だけど客観的に見れば、私の姿はそう見えてしまうのかもしれない。



目障り……か。


時に言葉は凶器になるとよく言うけれど、胸を切り裂くような言葉だ。