「え!?えーと……。は、はるくんこそどうしたの?」
「俺は、朝練の時の忘れもん取りにきた」
「忘れ物?体育館に忘れたの?一緒に探そうか?」
「いや。あったからもういい」
「そっか……」
古賀さんに嫌われてしまっているとわかったあの後、はるくんに。
『古賀のことはもうほっときなよ。勝手にあっちが嫌ってんだ。結衣が気遣ってやる必要ない』
と言われてしまった。
多分、古賀さんと話をしたら、私が傷つくんじゃないかってはるくんは心配してくれているんだ。
だから、はるくんには古賀さんと話をしようとしていることはできるだけ隠しておきたい。
これ以上、心配はかけたくないから。
じゃないと、“俺が話つけてやる”とか言って、古賀さんをとっ捕まえかねないもん。
そういえば、昔もそんなことあったなぁ……。
確か、あれは小学校5年生の時。
クラスのとある男子に、ちょっとした嫌がらせをされた時期があった。
何でそんなことをされるのか自分でもよくわからなくて、わけを聞こうと奮闘したけどなかなか勇気が出なくて。
どうしたらいいのかわからない私はどうしようもなくなって、誰もいない場所でこっそり泣いていたんだ。
そんな時、どこからともなくはるくんが現れた。



