「そう……なんだけど……」
はるくんのことを悪く言われたりしたら、私はきっと私自身を許せない。
自分が悪く言われるより、はるくんが悪く言われる方が何倍もダメージが大きいんだ。
「はるくんが、私のせいで悪く言われるなんて……。そんなの絶対に嫌」
無意識にギュッとスカートを握りしめていた。
そんな私を見て、はるくんが一つ溜息をつく。
「結衣は、昔から人のことばっかだよね」
「え?」
「ま。いいけど。結衣が自分を大事にしないなら、俺が大事にすればいいだけだし」
それって……どういう意味?
はるくんの言葉の意味がいまいち理解できなくてキョトンとしていたら、呆れたように笑うはるくんに「鈍感」と言って、デコピンをされてしまった。
痛い……。
「友達なんて無理に作るもんでもないし。結衣のペースでゆっくりやればいいんじゃない?」
「……うん」
「結衣のいいとこ気づくヤツ、絶対現れるから大丈夫」
はるくんは、私の髪をクシャリと撫でながらそんな言葉をくれる。
はるくんは、本当に優しいなぁ……。
きっと、この場所にいる私を見つけてくれたのも、私が一人ぼっちでいると思ったからでしょ?
朝、私の様子がおかしかったから。



