ピッタリと密着した背中からはるくんの体温が伝わってきて、すごく温かい。



「はるくん、あの……人の目が……」


「誰も見ちゃいないよ。人のことなんて」



そ、そんなシレッと……!



まぁ、言われてみれば、誰も私達なんか気にかけていない。


みんな、自分達の大切な人を視界に入れるだけで精一杯なんだ。


私だってそう。


はるくんの匂いに包まれて、はるくんの体温に守られて、私の全部がはるくんでいっぱい。


幸せすぎて、胸が苦しくて、他なんて見ていられない。




「……何だか嘘みたい。ついこの間まで、手を繋いで二人で出掛けることすら、夢のまた夢だったのに」



夢といっても、絶対に叶わない夢だと思ってた。


たとえその日が来ても、はるくんの隣にいるのは、絶対に私ではないって。


ずっとずっと、そう思ってた。



「今日ね、実はこの服、古賀さんと井田さんが選んでくれたんだ。夏休みに学校に行った時のもそうだったんだよ」


「へぇ」


「はるくんちで、みんなが電話をくれた時にも思ったの。みんなにこんなに応援してもらって、私は一体何ができるんだろうって。それでね、思ったの」



私達の未来も、先の見えないこの水平線と一緒。


どんな未来が待っているかわからない。


もしかしたら、もっとすごい困難が待ち受けているかもしれない。