はるくんに、キスをされた頬がやたらと熱い。


何だか胸いっぱいになってしまって、結局その後パスタは食べきれず、はるくんにあげることになった。













茜色に染まり始めた太陽が、海の水面に反射してキラキラと輝いている。


潮の香りのする風が、私の頬を掠め、長い髪を揺らした。



「楽しい時間て、あっという間だね」


「ね」



一通り回り終えた水族館を出ると、私達は水族館の裏にある浜辺に来ていた。


夏場は海水浴場にもなるこの場所は、今の季節はサーファーの人達のサーフスポットになっているらしい。


浜辺には何組か家族連れやカップルがいるけれど、意外に穴場なようで、それほどたくさんの人はいない。



子供の笑い声と、波の音。


まるで、時間が止まっているみたいに穏やかな時間が流れている。



「クシュン!」


「寒い?」


「えへへ。夕方は、さすがに肌寒くなってきたね」



ちょっと薄着しすぎちゃったかな。とシャツの上から腕をさすれば、はるくんがのそっと立ち上がった。



どうしたんだろう?



そう思ったのも束の間。



「!?!?」



はるくんが、後ろから私を抱きしめるようにして座り直したのだ。



な、なななな何が起きて……!?



はるくんの手は、私の冷たくなった手を取り、温めるように自分の両手の中におさめる。