はるくんに、キスをされた頬がやたらと熱い。
何だか胸いっぱいになってしまって、結局その後パスタは食べきれず、はるくんにあげることになった。
*
茜色に染まり始めた太陽が、海の水面に反射してキラキラと輝いている。
潮の香りのする風が、私の頬を掠め、長い髪を揺らした。
「楽しい時間て、あっという間だね」
「ね」
一通り回り終えた水族館を出ると、私達は水族館の裏にある浜辺に来ていた。
夏場は海水浴場にもなるこの場所は、今の季節はサーファーの人達のサーフスポットになっているらしい。
浜辺には何組か家族連れやカップルがいるけれど、意外に穴場なようで、それほどたくさんの人はいない。
子供の笑い声と、波の音。
まるで、時間が止まっているみたいに穏やかな時間が流れている。
「クシュン!」
「寒い?」
「えへへ。夕方は、さすがに肌寒くなってきたね」
ちょっと薄着しすぎちゃったかな。とシャツの上から腕をさすれば、はるくんがのそっと立ち上がった。
どうしたんだろう?
そう思ったのも束の間。
「!?!?」
はるくんが、後ろから私を抱きしめるようにして座り直したのだ。
な、なななな何が起きて……!?
はるくんの手は、私の冷たくなった手を取り、温めるように自分の両手の中におさめる。