まだ物足りなそうに私のパスタをじっと見つめてくるはるくんに気づき、思わずフォークを持つ手を止めた。
「はるくん……育ち盛りですか?」
「まだまだ育ち盛りです」
「ダ、ダメだよ!私のパスタはあげないよ!」
「普通そこは“一口いる?”とか言わない?食いしん坊」
また食いしん坊って言われた……!!
いや、そうだけど!!
間違いないけど!!
「んー。じゃあ、なんか芸したらくれる?」
「へ?」
「イルカとかはホラ、芸したら魚もらえたりするでしょ」
「えぇ〜」
それは動物の話でしょ!…と言おうとして、まてよ?と言葉を飲み込んだ。
はるくんの芸って……何だろう?
まさか、あのはるくんが何か一発芸を……!?
好奇心に負けてしまった私は、気づけば「い、いいよ」と承諾してしまっていた。
すると、はるくんの手が私の顎を持ち、自分の方へとグイッと引き寄せて。
────チュ。
なんと、私の頬にキスをしたではないか。
「なっ……!?なななははははる……」
頬をおさえ、体を引いたと同時に椅子から落ちそうになって、はるくんに腕を掴まれる。
「はい。ご褒美ちょうだい」
ペロッと舌を出して、不敵な笑みを浮かべるはるくん。
も、もしかして……イルカショーのキスの真似をしてる……??
確かにイルカは可愛かったけど!!
はるくんは人間の男の子ですよ!!