も、もしかして、“お手”をしろってことかもしれないし!
い、いや、手相を見ろってことなのかも……!
パニックのあまり、くだないことばかりが次々と頭の中に浮んでくる。
すると、手を差し出したままのはるくんの眉間に、いつの間にやら一筋のシワが刻まれていて、思わず私はギョッとした。
「……やだ?」
「そそそ、そういうわけじゃ……!」
「結衣とデートすることになった日から、ずっと決めてた。今日は、結衣とずっと手を繋いでいようって」
「……っ!」
「ごめんね。多分俺、相当浮かれてる」
そう言って顔を背けたはるくんの耳は、ほんのり赤く染っていた。
……浮かれているのは、私だけじゃないの?
それなら───。
しまおうとするはるくんの手を、しがみつくように掴み、自分の手を重ねる。
────すごくすごく嬉しいな。
「嬉しい。私も、はるくんと手を繋ぎたいって思ってたの」
驚き顔のはるくんに満面の笑み向ければ、はるくんも柔らかな笑みを浮かべながら、私の手をぎゅっと握ってくれた。
順路に沿って、はるくんと手を繋ぎながらじっくり一つ一つの水槽を見て回った。
カラフルな魚達が泳ぐ水槽。
エイリアンみたいな深海魚だらけの水槽。
神秘的なライトアップがされたクラゲの水槽。
あ。そうそう。



