そんなことを思いながら、張りつくように水槽に見入っていれば。
「あの笑った顔のやつは、エイだって」
はるくんが、私を自分と水槽との間に挟むようにして両手をついた。
「笑ってるように見えるけど、実は目みたいなやつは鼻らしいよ」
「……っ」
まるで、はるくんに後ろから抱きしめられてるみたいな体勢に、私の心臓が暴れ出す。
せ、せっかくはるくんが説明してくれてるのに、これじゃ全然頭に入ってこないよ……!!
「結衣?聞いてる?」
「き、聞いてるよ!」
お願いだから、耳元で囁かないで〜〜!!
「……とりあえず、先に進んでみる?あっちに結衣が好きそうな水槽あるよ」
「う、うん!行こっか!」
はるくんの体温が離れていく。
はるくん、一つも表情が変わらずいたっていつも通りって感じだなぁ。
まぁ、元からあんまり表情が変わる人じゃないけどさ……。
何だか私ばかりドキドキして、浮かれていて、ちょっと悔しい。
すると、前を歩くはるくんが「あ」と声を漏らした。
「そうだった」
はるくんはそう言うと、こちらを振り返り、私に向けて手を差し出してくる。
「えっと……?」
こ、これはひょっとして……手を繋いでいいということなのか……。
いや、でもでも!
もしも違かったら、とんだ大恥だよね?



