「行ってらっしゃい」




リビングの方から、そう言うお母さんの声が聞こえて、思わずはるくんと顔を見合わせた。


それから、二人同時に破顔する。




すぐにというわけには、いかないかもしれない。


だけど、


きっと、少しずつ少しずつ、


何かが変わり始めている。



そんな予感がする────。












「うわぁぁぁ〜〜〜!!」



大きな水槽。


その中で優雅に泳ぐ、様々な種類の魚達。



まるで、別世界にいるみたい……!!



水族館に入館するなりいきなり現れた巨大水槽の前で、私は人目もはばからず思い切り感嘆の声を漏らしてしまった。



「はるくん!!見て見て!!あの魚、凄くおっきいよ!!あ!あの魚の名前何だっけ!?あはは!なんかあの魚微笑んでるみたい!!」


「……ぷ。子供か」



は!!


つ、ついはしゃぎ過ぎてしまった!!


気がつけば、はるくんが肩を震わせ笑っていた。



ひゃー!!恥ずかしい!!



「だ、だって、私水族館て初めてなんだもん……」


「小三の時、学年遠足で行かなかったっけ?」


「私、その日熱出しちゃって、楽しみにしてたのに行けなかったんだ」


「あー、そんなこともあったね」



一度は行ってみたいってずっと思っていたけど、こんなに綺麗なところならもっと早く来るんだった!