「行ってらっしゃい」
リビングの方から、そう言うお母さんの声が聞こえて、思わずはるくんと顔を見合わせた。
それから、二人同時に破顔する。
すぐにというわけには、いかないかもしれない。
だけど、
きっと、少しずつ少しずつ、
何かが変わり始めている。
そんな予感がする────。
*
「うわぁぁぁ〜〜〜!!」
大きな水槽。
その中で優雅に泳ぐ、様々な種類の魚達。
まるで、別世界にいるみたい……!!
水族館に入館するなりいきなり現れた巨大水槽の前で、私は人目もはばからず思い切り感嘆の声を漏らしてしまった。
「はるくん!!見て見て!!あの魚、凄くおっきいよ!!あ!あの魚の名前何だっけ!?あはは!なんかあの魚微笑んでるみたい!!」
「……ぷ。子供か」
は!!
つ、ついはしゃぎ過ぎてしまった!!
気がつけば、はるくんが肩を震わせ笑っていた。
ひゃー!!恥ずかしい!!
「だ、だって、私水族館て初めてなんだもん……」
「小三の時、学年遠足で行かなかったっけ?」
「私、その日熱出しちゃって、楽しみにしてたのに行けなかったんだ」
「あー、そんなこともあったね」
一度は行ってみたいってずっと思っていたけど、こんなに綺麗なところならもっと早く来るんだった!



