はるくんを思って泣いた夜は、あんなにも長く感じたのに、幸せな明日を思い描く夜はあっという間なんだ。
ちょっと恥ずかしいことを言ってしまったかな……なんて、照れ隠しで俯くと、頭の上から盛大な溜息が降ってきた。
見れば、はるくんは額を押さえながらガックリと項垂れている。
「はるくん?」
「初っ端からそんな可愛いとか……。俺、今日一日色々我慢できるか心配になってきた」
「???」
独り言のようにそう呟くはるくんの視線に捕まって、心臓が大きく弾む。
そっと伸びてきたはるくんの手が私の手を取り、まるでキスをするかのように口元へとあてられる。
「あんまり煽り過ぎないようにね?じゃないと俺、オオカミになっちゃうから」
「!?!?」
不敵な笑みを浮かべるはるくん。
一方私は、真っ赤な顔で口をパクパクして、まるで金魚みたい。
それを見たはるくんが、満足そうにニッコリと笑う。
想いが通じ合ってからというもの、はるくんは何かのタガが外れたかのように甘い。とにかく甘い。
恋人同士ってみんなこんなふうなのかな?とか考えてはみるけど、経験値0の私が考えたところでわかるわけがない。
これじゃ、心臓がいくらあっても足りないよ……。
と、私の頭をなでていたはるくんが、何かに気づいたように私の後ろへと視線を移した。