「!?!?」


意地悪に唇の端を上げ、つん、と私の寝癖をつまむはるくん。



「きゃー!見ないでぇぇ!」



真っ赤になって両手で顔を覆う私を見て、はるくんはクスクスと笑っている。


はるくんとのデートは、正真正銘これが初めて。


ずっと秘密の関係だった私達は、10年間一緒にいたにも関わらず、二人きりでは遠出ひとつしたことがなかった。


だから、つい先日の学校からの帰り道。



『今度の休み、二人で水族館に行かない?』



そうはるくんに誘われた時は、嬉しくて嬉しくて、思わず飛び跳ねてしまいそうになった。



「ううっ。はるくんの意地悪……」


「ふ。何?昨日夜更かしでもしたの?」


「ち、違うの……」


「?」



顔をおさえていた手を下にずらし、上目遣いではるくんを見上げると、コテンと首を傾げたはるくんが現れる。



だって……。



「……だって、楽しみすぎて眠れかったんだもん」



そりゃそうだよ。


今日は一日、はるくんを一人占めできるんだよ?


はるくんと恋人になって、初めてこんなにも長い時間を二人で過ごすことができるんだ。


そう思ったら、はるくんとあれがしたいな、これがしたいなって、頭の中がいっぱいになって、気付けばいつの間にか朝になってた。


不思議だよね。