「結衣はいつも、自分のことそっちのけで、人のことばかりなんです。自分を犠牲にして、人の幸せばっか願って……。強くなきゃそうはなれない」


「はるくん……」


「俺達は、そんな彼女だから、一緒にいたいと思えるんです」



はるくんは、ポケットからスマホを取り出して、お母さんの方へと画面を向ける。


すると。



『ちょ、これもう喋っていいのかぁ?あ!えっと、蒔田さんのお母さんこんばんは!俺、蒔田さんの友達の厚木って言います!えっと、蒔田さんめっちゃ優しくて、頭が良くて、可愛いくて、俺大好きなんですっ!!って、あれ?これじゃなんか告白みたいになって……』


『……厚木、もう喋らなくていい。蒔田さんのお母さんこんばんは。八木と言います。蒔田さんには、いつもお世話になっています。蒔田さんとは、もっとこれから色々な話をして、一緒に思い出作っていきたいです。次、井田さん?』


『はははははじめまして!!蒔田さんは最っっっ高に素敵な人です!!もうすっっっっごく大好きです!!もっともっと話したいし、たくさん遊びたいし、も……うっ、ふぇぇぇぁぁぁ』


『泣くな。鬱陶しい……。
……古賀です。……結衣、踏ん張れ』



スマホの向こうから聞こえてきたのは、大好きな大好きなみんなの声。



みんな……。



目の奥が熱くなって、視界が歪む。