「かからねーよっ!!てかひでぇ!それが親友に対する物言いかね!!悠斗くん!!」
「は?親友?どこのだれが?つか、下りろ。赤の他人」
「赤の他人っ!!!」
いかにもガーンという感じで地面に突っ伏する厚木くん。
それを見て「めんどくせぇ」と呟くはるくん。
「蒔田さん!この冷血野郎に何とか言ってよ!」
「あはは!」
相変わらずの二人の掛け合いに、厚木くんには悪いと思いつつもつい声を零して笑ってしまった。
厚木くんは、はるくんと同じバスケ部に所属していて、はるくんが一番心を許している親友というやつだ。
何でも、厚木くんとはるくんは中学時代にバスケの試合で何度か顔を合わせたことがあって、学校が違うにも関わらず、当時から仲が良かったらしい(はるくんは厚木くんに一方的に懐かれたって言ってたけど…)。
そして、私とはるくんは、厚木くんとクラスも一緒だ。
明るくて楽しくて誰とでも仲良くできちゃうクラスのムードメーカー的存在の厚木くんは、誰にでも分け隔てなく接してくれるとっても良い人。
そう。
厚木くんはこんな私にも普通に接してくれるんだ……。
「あれ?尾上くんと一緒にいるのって蒔田さん?」
背後からそんな話し声が聞こえてきて、ドキッと心臓が跳ねる。



