はるくんやはるくんのお母さんに傷ついて欲しくないから。


そうやって理由ばかりつけて、逃げていた。



だけど、そんなの違う。


本当は、私が傷つく勇気がなかっただけ。


大切な人を、失うのが怖かっただけ。



だけど、それじゃダメなんだ。


失う覚悟がなくちゃ、本当に大切なものなんて守れるはずがないんだ。



「お母さん。私、はるくんにそそのかされて、お母さんを裏切っていたんじゃないよ」



三者面談の日はるくんは、私を庇うためお母さんに自分がそそのかしたと言った。


その時、きちんと否定することができなかったことを、私はずっと後悔していた。


本当は違うのに。


はるくんがそそのかしたなんて全然違うのに。


本当はあの時、はるくんやはるくんのお母さんの前できちんと伝えるべきだった。


ちゃんと向き合うべきだった。



「私は、初めてはるくんに出逢った日から、はるくんのことが好きだったの。ずっとずっと、大好きだった」


「な……っ」


「だから、はるくんの側にいられるなら、大切なお母さんを裏切ってもいいって、そう思ったの」



もう、自分の気持ちに嘘はつきたくない。


この想いを隠したくなんかない。