もしキミが、ただひたすらに俺との未来を望んでくれるのなら、


俺は俺の全てをかけて、


キミも、


キミとの未来も全部、



守るくらいの覚悟は出来ていたんだ────。












────ガガンッ!



「おーいっ!マジ尾上どうした!?ノーマークから決められねぇんじゃ話になんねーぞっ!?」



バスケットボールが、ゴールリングに跳ね返されると同時に、飛んでくるキャプテンからの怒号。


怒られるのも無理はない。


自分でもアホみたいなプレーしてるのはわかってる。




「……すいません」


「お前、最近どうかしてるぞ?ちょっと外行って頭冷やしてこい」


「……はい」



気合いを入れろとばかりに、キャプテンは力強く俺の背中を叩くと、元のポジションへと戻っていく。


みんながプレーを再開する中、俺は一人体育館を出て体育館の裏手へと回った。


日陰が多く、比較的涼しいそこは、部員達が休憩時間によく使う場所だ。


幸い今の時間は誰もいなくて、俺はその場所に着くと夏風にサラサラと揺れる木の下で、ドサッと仰向けに寝転がった。


木漏れ日を遮るように目の上に腕を乗せる。



「……セミ、うるせぇ……」



夏休みに入ってからというもの、より一層激しさを増したセミの鳴き声。


普段大して何も思わないのに、今はそれすらも煩わしく感じる。