厚木くんは、まだプールサイドにいるはるくんに大きく手を振りながら呼びかける。
まさかこんな展開になるとは思ってもいなかった私は、大慌てで厚木くんを止めるも。
…………あ。
こちらに気付いたはるくんとフェンス越しに目が合ってしまった。
私を見たまま、目を見開き固まっているはるくん。
そういえば、はるくんの前でこんな格好ほとんどしたことがないかもしれない。
色つきリップもチークも初めて。
きっと、すごい違和感だろうな。
もしかしたら、変だって思われてしまっているのかも……。
そんなネガティブな思考が襲いかかってくるのを思い切り頭を振って振り払った。
ダメダメ!
もっと自信をもたなくちゃ!
井田さんにも背中を押してもらったんだから!
そんな葛藤をしていると。
「お。何だ厚木の彼女か?」
たった今フェンスを下りてきた二人組の男子が、こちらに近寄ってくるなりまじまじと私の顔を覗きこんでくる。
ち、近い……。
この人達……先輩かな?
一年生では、見たことがない顔。
「や。俺の彼女じゃないっす」
「お!マジ?じゃあ、この子フリー?てかキミ、めちゃくちゃ可愛いね!一年?」
「えっ……あ、いや……はい」
「あはは!どっち!てかさ?結構俺、タイプかも。連絡先交換しない?」
「えとっ……あの……その……」
二人の先輩の内の一人にそう迫られ、戸惑う私。



