伝えたからって、この先はるくんの側にいられるわけじゃないのに。


ただ、困らせてしまうだけかもしれないのに。



だけど。


もう、この溢れる気持ちはどうすることもできないから……。


伝えよう。


ありったけの想いを込めて。


いつか後悔して立ち止まらなくて済むように。


どんな未来でも、はるくんを好きになって良かったと思えるように────。





「コラーーッ!!」



大きな怒鳴り声がして「ひっ!」と言う悲鳴と共に思わず背筋がピンと伸びた。


見れば体育館の入口から、眉をつりあげた一人の女子がこちらに向かって駆けてくる。


栗色のサラサラのポニーテールに、文句のつけどころがないほど整った顔立ち。


首からホイッスルを下げて、いかにも快活な印象のその子は、フェンスにガシャンと両手をついた。



「まったく!いくら今日がプールの清掃日だからってハチャメチャやって!!さっさと戻ってきなさーーい!!」



彼女がそう叫ぶと「やべっ!マネージャーがキレてる!」と男子達がまた慌ててフェンスを登り始める。


「あんたら明日、グランド10周だからねっ!!」と憤慨している彼女は、どうやらバスケ部のマネージャーらしい。


その迫力に圧倒され、思わずその場に立ち尽くしていると。



「あれ!?古賀さん!?」