夏休みに入って、まだたった2週間程度なのに、もう何年も会っていないみたい。



「……っ」



鼻の奥がツンとしてきて、少し気を緩めたら泣いてしまいそうになった。



やだな。


突き放したのは私なのに。


私ってば、どれだけはるくんに会いたかったんだろう?



「あれ?何か練習終わったっぽくない?」



古賀さんの言う通り、はるくんも含め、今まで練習していた部員全員の動きが止まった。


何か話をしているみたい……?


かと思えば。



「ひぃっ!」



今度は一斉に「うおおぉ」という雄叫びをあげながら、すごい勢いでこちらに向かってくるではないか。



「こ、古賀さん!どどどどうしよう!?」


「ちょ……いいからこっち!」



襟足を捕まれ引きずり込まれたのは、体育館脇の茂みの中。


ついさっきまで私達のいた場所を駆け抜けて行く部員達に、なんとか気づかれずに身を隠すことができた。



「い、一体何が起きて……」


「しっ」



古賀さんに口をおさえつけられ、モガッと言葉が封じられる。


「見て」と古賀さんが指さす先は、体育館横にあるプールのフェンス。


はるくんをはじめ、バスケ部のみんなは楽しそうにそこをよじ登っていた。



「何やってんだあいつら……」



さすがの古賀さんも怪訝な表情を浮かべている。