どこに向かっているのか、無言を貫く古賀さんに連れられ、着いた先は学校だった。


駅に着いた時点で、何となく予想はしていたけど、何で学校なんかに……?


古賀さんは、正門前を通り過ぎ、学校の東門へと回ると、人気のない駐輪場脇の門から学校の敷地内へと入っていく。



「こ、古賀さん!校内に入るの?私達私服だし、先生に見つかったら怒られちゃうよ……」


「だから、見つからないようにわざわざ人気の少ないとこから入ったんでしょうが。夏休み中の学校なんて、教員の人数も少ないんだからそうそう見つからないっての」


「で、でも……!」


「四の五の言うなら置いてくね」


「ちょっ……古賀さんっ」



古賀さんは、私の呼びかけに見向きもせず、スタスタと歩いて行ってしまう。


リスクを冒してまで、一体学校に何の用事があるのか、理由だけでも教えてくれればいいのに。


もし見つかって怒られるにしたって、これじゃ言い訳もできないよ。



なんて、ゴチてる場合ではなさそう。


古賀さんの背中が小さくなり、ついには角を曲がって消えてしまった。


躊躇する気持ちと、古賀さんが学校に来た目的を知りたいという興味の狭間で迷った挙句。



「こ、古賀さん……!待って!」



私は古賀さんの後を追うことにしたのだった。