いつだって、はるくんだけは側にいてくれた。


……冷えていく私の心を、温め続けてくれた。


気がつけば、この世界にとって太陽という存在ががそうであるように、私にとってはるくんは、どうしてもなくてはならない存在になっていた。


はるくんは、私の太陽だった。



だから、私はその手を離せなくなってしまっていたんだ。


はるくんなしじゃ、私は生きていけなくなってしまっていた。


だけど、こんなのフェアじゃないじゃない。


いつだって、私はもらってばかりで。


私ははるくんに何をしてあげられた?


何を与えられた?


私なんかが、これから何を与えられる?


私には……何もない。




こんな関係、続けてたらいけない。


こんな私だから、大切な人達を傷つけてしまうばかりで、何一つ守ることができないんだ。


私がもっと、強かったら……。



「はるくんと一緒にいると、私が辛いの」



だから、今私にできる唯一のことは、これしかないの。


唯一あなたにできること。


それは────。



「だから、お願い。もう、ほっといて……」



あなたの手を離すこと。





嘘で固めた言葉を全て吐き出し終えても、はるくんの顔を見ることはできなかった。


膨らむカーテン。


途端に蝉の声が消え、重たい沈黙が訪れる。