全部本当で全部うそ。



本当は、


“私が傷つきたくない”


それだけなんだ。



───お母さんに嫌われたくない。


───はるくんや、はるくんのお母さんが私のせいで傷つくのは耐えられない。


───はるくんの隣にいる自信がない。


───私が側にいたせいで、はるくんが幸せになれなかったらと思うと怖い。



はるくんは、前に言っていたよね?


私は、自分のことよりも人のことばかり考えているって。


違う。


違うの。


私は、いつだって自分のことばかり。


自分が傷つくのが怖いだけなの。


誰にどう見られようがいい。


だけど、はるくんにだけは、こんな私を見られたくなかった。


こんな醜い私なんて────。




はるくんの前から立ち去った私は、図書室へと向かおうとしていた。


だけど……。



「ひっっ!?」



なんと、その後ろからはるくんがすごい形相で私を追いかけてきていることに気づき、思わず悲鳴を上げてしまう。



はるくん、目が座ってる!!!!


間違いなく、すっごくすっごく怒ってる!!!!



追いかけられたら、逃げてしまうのが人間の心理なのか。


私は慌ててスピードを上げる。