そんなの……。




「そんなことあるはずないよっ!!」



気がつけば勢いよく立ち上がっていた。


そんな私を、はるくんが見上げる。


やっと見えたはるくんの表情は、目を見張り驚いているようだった。



「私が、はるくんをいらなくなるなんて、そんなの絶対に、絶対にないっ!!」


「結衣……」



はるくんのバカ。


いつも私の気持ちなんてお見通しなくせに。


何で、こんな時に限って、そんなおかしなことを言うの?



私は、こんなにもはるくんのことが好きなのに。



私の全部を知って欲しいと思えるのも、


誰かの全部を知りたいと思えるのも、


他の誰でもない。


ずっとずっと、あなただけなのに……。



「今も、これからも、私が私の全部を見せられるのは、はるくんただ一人だよっ!!」



私の心は、今も、これからも、


はるくんだけのものなのに。




手を握り、唇を噛み締め“この気持ちが伝わってしまえばいいのに”と彼を見つめる。


伝える勇気はないくせに、伝わればいい…なんて、矛盾しているにも程がある。



だけどね、はるくん。


私、この先どんな事があっても。


いつか、あなたに大切な人が現れたとしても。


きっと、この想いが消える日なんて来ないと思うんだ。