「ちょいちょい!何で喧嘩が始まってんの!?二人とも!!早くプリント終わらせて帰ろうぜ!?」


「いや、一番終わってないあんたが言うな。あんたが終わらなくても私帰るからね?」


「えー!!古賀さん冷たい!!でも、そんなとこも好きっ!!」


「うざい」



厚木くんのおかげで、一瞬張り詰めた空気が和らいでホッとする。


はるくんを覗き見れば、いつもと変わらない様子でまたプリントに向かっていた。



私に彼氏……か。


古賀さんは、何であんなことを言ったんだろう?



彼氏なんてできるわけないよ。


はるくん以上に私をわかってくれている人も、はるくん以上にわかりたいと思える人も、


この先、現れるはずがないんだから────。






それから数分後。



「やっと終わったーー!!」



ようやくプリントを解き終えた厚木くんが、だらんと机に項垂れる。



「これで、全員プリントを解き終わったね!みんなお疲れ様でした 」


「ありがとう!後は職員室に持ってくだけだな!」


「蒔田さん、八木くん、教えてくれて、本当にありがとうございました」



私、厚木くん、井田さんがそんなやり取りをしている中、八木くんは眉間にしわを寄せ、何やら真剣な様子でノートに向かっている。