「蒔田さんの教え方、とってもわかりやすいです!」
「え!?そ、そんなことないよ!」
まさか井田さんにそんな風に言って貰えるなんて思ってもいなくて、私は真っ赤になりながら思い切り両手を振る。
「結衣は人の立場に立って物事を考えるのが得意だから、教えるのに向いてるんだよ」
そんな私の左隣で、自分のプリントに向かいながら柔らかく微笑むはるくんにドキッとする。
はるくん、そんな風に思ってくれていたんだ……。
「尾上ってさ、いつもこの子のこと何でも知ってる風な言い方するよね」
古賀さんがはるくんにニヤニヤしながら挑戦的な目を向ける。
それに対しはるくんも。
「……知ってるけど?」
と睨み返して……え!?何で火花が散ってるの!?
「へ〜。幼なじみだからってやつ?でもさ、そんなのいつかこの子に彼氏でもできれば、すぐにそいつの方がこの子に詳しくなるんじゃない?」
古賀さんにそう言われたはるくんの瞳が、一瞬だけど揺れた気がしたのは気のせいだろうか?



